書名 | 蝙蝠羽織図幅 |
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解説 | 紙本彩色 無款 |
冊数 | 1幅 |
著者 | |
絵師 | |
版元(出版社) | |
刊年 | 〔寛永正保頃〕写 |
欄外解説 | |
備考 | 蝙蝠羽織とは江戸初期ごろ若衆の間で流行した、丈が短く、袖が長く広い羽織。近世の代表的な風俗考証本『骨董集』(山東京伝著・喜多武清縮図、文化十一年刊)上編上之巻に用例として掲げられている「蝙蝠羽織圖」は、まさに本軸を原図としたものであろう。函裏に「杏花園」「南畝圖書」の朱印があることも「杏花園蔵」との記載を裏付ける。尚、附載文には「寛永正保頃の古画にやあらん」とあり、その頃の製作か。この図は『骨董集』掲載以後、『守貞謾稿』等の風俗論集や『時代かがみ』(周延画)などの錦絵ほか多くの作品に派生していったことが明らかであり、時代風俗考証における第一級の資料としてその価値は極めて高いといえよう。本紙の大きさ八一・三×四〇・四糎。着物の紋様部分に少し擦れや金泥の褪色があるほかは作製当時の色をほぼそのまま残し、強い輪郭線と丁寧に描かれた人物の顔とが相まって、古雅な趣を有する逸品である。 |