W21110006
書名

長崎名勝図絵

解説
冊数1舗
著者
絵師
版元(出版社)
刊年江戸後期写
欄外解説
備考約一〇九×二三一糎の大型図。桐唐草紋緞子表紙に「長崎名勝圖繪」と墨書した絹地の題簽を貼付する。料紙は厚手の楮紙。内題および奥書はない。長崎湾およびその沿岸を、点在する役所・番所・米蔵等や寺社等の名所を含めて精緻に描き、名称およびその解説は小紙片を貼付して示している。湾内には岬・港間の距離や深さを記すとともに、和洋問わず多数の船も描かれている。本図は公益財団法人鍋島報效会(佐賀藩鍋島家旧蔵品を有する徴古館)所蔵の『長崎港鳥瞰図』に細部にわたり酷似しており、その大きさもほぼ一致する。同じ絵師が同時期に描いたものであることは疑いなく、副本としてつくられたものの一つであろうか。いずれにしても佐賀藩主鍋島氏の使用をうかがわせる、極めて質の高い図である。当時、佐賀藩は福岡藩とともに長崎警備を担っており、本図には佐賀藩の印(杏葉紋)を多くの船や陣に見ることができる。藩領の伊王島と神ノ島には幕府の命無くも藩独自に台場を作ったことで知られるが、本図にはその二島の部分に台場の記述はなく、嘉永以前に描かれたものかと推測される。図の余白には「黒船館」の大型朱印が捺され、新潟県柏崎市の呉服商であった対外史関係資料のコレクター吉田正太郎の旧蔵と知れる。本図がいかなる経緯で鍋島家を離れて彼の手に渡ったか、また手放したかなど、来歴への興味も尽きないところである。
在庫状態 : 在庫有り
¥4,620,000(税込)
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