W20070005
書名

古筆手鑑 藻塩草

解説
冊数1帖
著者
絵師
版元(出版社)
刊年〔奈良~江戸前期〕写
欄外解説
備考大きさ三八・八×二五・八糎、厚さ六・三糎の折帖に、表四四・裏五三の計九七葉の古筆切と短冊を貼り込み、それぞれに伝承筆者を記した極札が付されている。表紙は紺地に古代龍文や蟹文の金襴で、蔓草文の白銀角金具を付す。表紙中央の雲紙に金泥で秋草を描き、金野毛を散した題簽に「藻塩草」とある。表最終面に貼られた極札に拠れば、外題は橋本実松(享保一七年(一七三二)没・六一歳)の筆である。表の見返しは金紙に鳥の墨絵(朱印あり)で、裏は鳥の子地に金銀泥や様々な箔を豪華に散らす。聖武天皇大聖武三行と光明皇后蝶鳥下絵経切四行に始まり、天皇は後柏原・後奈良の短冊、後水尾・後光明・後西の色紙まで。この後に後深草の後拾遺集総巻頭の切があるのは後の貼替えであろう。表は御子左家関係者の切を中心に貼り、為道の六半古今集切(安田切)で終わる。裏面は天神(道真)の式切一行で始まり、古筆了佐の短冊で終わる。平安の仮名切に、道風の本阿弥切(古今集・白唐紙)、行成の雲紙朗詠集切、順の栂尾切(万葉集・下絵)があり、佐理の綾地切一行、俊成の補任切と日野切、定家の明月記切(建保元年正月十六、七日)と三首切(高遠集)などの名物切もある。この他にも、後鳥羽の清水切二行(新古今集、水無瀬切)、後宇多の松木切(親子集巻頭部分)、光厳の六条切(雲紙)、坊門局の四半源氏物語切、為氏の宝治歌合切(唐紙一紙半)、覚源の浦野切(後撰集)、源承の笠間切(浜木綿集)、為冬の小六半切(源氏物語歌抜書)、阿仏の角倉切(後撰集・白紙)、定為の平野切(続千載集)、為秀の六百番歌合切、為世の五条切(続千載集)、為忠の高台寺切(続後撰集・雲紙)、為重の道也切(新古今集・白紙)、民部卿局の秋篠切(後撰集)、頼盛の厳島切、清輔の内裏切(古今集)、家良の御文庫切(家集)、顕昭の伏見院三十首切、雅経の今城切(古今集・青紙)、顕輔の鶉切(古今集・唐紙)、有家の大六半切(未詳物語)、道家の備中切(新古今集)、俊寛の三輪切(古今集仮名序)、光俊の芝山切(顕輔集)、善成の細川切(河海抄)、行尹の巻物切(続古今集)、実任の白短冊、頓阿の兵庫切(家集)、兼好の越前切(伊勢物語)、浄弁と慶運の白短冊、尭孝の仏光寺切(新続古今集)と雲紙短冊などが捺されている。昭和七年名古屋美術クラブで入札が行われた天野家の旧蔵品であるが、目録に図版のある基俊の多賀切、佐理の紙捻切、小大君の香紙切他の平安の仮名の大名物は現存しない。極札の様子からすると、本来は本家の古筆了音か了珉による仕立てであったものが、現代になって少なからぬ貼り替えがなされたものと思われる。金の縁取と本家極札のあるものが本来のものであろう。現状でも美術的・学術的に注目できる切は数多く、国宝と同銘を有するに恥ずかしくない手鑑である。二重箱入。外は桐箱、内は黒漆で、蓋中央に表紙外題に似せた金文字がある。外箱の「御手かゝみ」の文字は、蓋裏書によれば、書家綾村坦園の手である。
在庫状態 : 在庫有り
¥39,600,000(税込)
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